発達障害の主な3つ(ASD/LD/ADHD)の違いと特徴
「ASD」「ADHD」「LD」という言葉を目にしたものの、それぞれの特徴や違いがよくわからない、という方は少なくありません。ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(学習障害)は、いずれも生まれつきの脳機能の特性によって日常生活にさまざまな困りごとが生じる「発達障害」の代表的な種類ですが、現れる特徴は大きく異なります。
この記事では、調布市で放課後等デイサービスを運営する私たちチル・リブが、ASD・ADHD・LDそれぞれの特徴と違いを、子どもと大人のケースに分けて比較表つきで解説します。あわせて、アスペルガー症候群との関係や、「発達障害」と「学習障害」「自閉症」の違いについてよく寄せられる疑問にもお答えします。
発達障害とは?ASD・ADHD・LDを含む主な種類
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達に偏りがあることで、コミュニケーションや学習、行動のコントロールなどに特有の特性が現れる状態の総称です。代表的な種類として、以下の3つが挙げられます。
- ASD(自閉スペクトラム症):対人関係やコミュニケーション、こだわりの強さに関する特性
- ADHD(注意欠如・多動症):不注意、多動性、衝動性に関する特性
- LD(学習障害/限局性学習症):読み・書き・計算など特定の学習分野に関する特性
これらは明確に線引きできるものではなく、特性の現れ方や強さには個人差があり、複数の特性を併せ持つ場合も少なくありません。まずは全体像を、以下の一覧表でひと目で確認してみましょう。
| 項目 | ASD(自閉スペクトラム症) | ADHD(注意欠如・多動症) | LD(学習障害) |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | 自閉スペクトラム症 | 注意欠如・多動症 | 限局性学習症(SLD) |
| 中心となる特性 | 対人コミュニケーションの困難さ、こだわりの強さ | 不注意、多動性、衝動性 | 読み・書き・計算など特定分野の困難さ |
| 得意なこと | 好きな分野への高い集中力、記憶力、規則性への強さ | 発想力、行動力、興味のあることへの瞬発力 | 特定分野以外の学習・能力は年齢相応 |
| 苦手・困りごと | 暗黙のルールの理解、対人関係、感覚の過敏さ | 集中の持続、忘れ物、順番待ち、感情のコントロール | 特定分野の読み書き・計算の習得 |
| 気づかれやすい時期 | 幼児期(大人になってから気づく場合もある) | 就学期以降(12歳になる前に特性が現れる) | 就学後、学習が本格化する小学校低学年頃 |
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
ASDとは?正式名称と意味
ASDとは「Autism Spectrum Disorder」の略で、日本語では「自閉スペクトラム症」と呼ばれます。以前は「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などに分類されていましたが、現在はこれらを連続体(スペクトラム)として捉え、ASDという一つの診断名に統一されています。「対人コミュニケーションの困難さ」と「限定的・反復的な行動やこだわり」の2つが主な特性とされています。
子どものASDに見られる特徴
子どものASDでは、次のような特徴が見られることがあります。
- 視線が合いにくい、表情や身振りでの意思疎通が苦手
- 友達との関わり方がわからず、一人遊びを好む
- 特定の物事や手順に強いこだわりがあり、変化を嫌う
- 同じ言葉や動作を繰り返す
- 音・光・肌触りなど特定の感覚に敏感、または鈍感
大人のASDに見られる特徴
大人になってから診断されるケースも増えています。子どもの頃は目立たなかった特性が、就職や人間関係の複雑化をきっかけに顕在化することがあり、特に男性・女性を問わず次のような困りごととして現れやすい傾向があります。
- 雑談や曖昧な指示の理解が難しく、職場でのコミュニケーションに悩みやすい
- 急な予定変更に強いストレスを感じる
- 特定の作業には高い集中力を発揮する一方、興味のないことへの切り替えが苦手
- 感覚過敏により、人混みや騒音の多い環境で疲れやすい
ASDの特徴を一覧表でチェック
| 特徴のカテゴリ | 具体的な特徴の例 |
|---|---|
| 社会的コミュニケーション | 相手の表情や意図の読み取りが苦手、比喩や曖昧な表現の理解が難しい |
| こだわり・反復行動 | 特定の物事への強い興味、同じ手順や習慣への固執、変化への不安 |
| 感覚の特性 | 音・光・匂い・触感などへの過敏さ、または鈍感さ |
| その他 | 言葉の発達の遅れが見られる場合と、見られない場合がある |
ADHD(注意欠如・多動症)の特徴
ADHDとは?正式名称
ADHDとは「Attention-Deficit Hyperactivity Disorder」の略で、日本語では「注意欠如・多動症」(旧称:注意欠陥・多動性障害)と呼ばれます。「不注意」「多動性」「衝動性」を中心とした特性が、12歳になる前から見られることが診断の目安とされています。
ADHDの3つのタイプ
ADHDは特性の現れ方によって、大きく3つのタイプに分けられます。
| タイプ | 主な特徴 |
|---|---|
| 不注意優勢型 | 忘れ物・なくし物が多い、集中が続かない、指示を最後まで聞けない。多動な様子は目立ちにくい |
| 多動・衝動優勢型 | じっと座っていられない、順番を待てない、思いついたことをすぐ口や行動に出す |
| 混合型 | 不注意・多動性・衝動性の両方が見られる。子どものADHDで最も多いタイプとされる |
子どものADHDに見られる特徴
- 授業中に席を離れる、体の一部を常に動かしている
- 忘れ物や物をなくすことが多い
- 順番を待つこと、列に並ぶことが苦手
- 思いついたことをすぐに口にしてしまう
大人のADHDに見られる特徴
大人のADHDでは、多動性は落ち着く一方、不注意や衝動性による困りごとが表面化しやすいといわれています。
- スケジュール管理や書類の提出期限を忘れやすい
- 複数の作業を同時に進めるのが苦手
- 衝動買いや感情の起伏が大きくなりやすい
- 集中しすぎて時間の感覚を忘れる「過集中」が見られることもある
ADHDの特徴を一覧表でチェック
| 特徴のカテゴリ | 具体的な特徴の例 |
|---|---|
| 不注意 | 集中の持続が難しい、忘れ物・なくし物が多い、ケアレスミスが多い |
| 多動性 | じっとしていられない、絶えず体の一部を動かす |
| 衝動性 | 順番を待てない、思ったことをすぐ言動に移す、感情のコントロールが難しい |
LD(学習障害)の特徴
LDとは?正式名称(限局性学習症)
LDとは「Learning Disabilities」の略で、日本語では「学習障害」、医学的には「限局性学習症(SLD)」と呼ばれます。全般的な知的発達に遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」など特定の学習分野の習得や使用に著しい困難が見られるのが特徴です。
LDの3つのタイプ
| 分野 | 主な特徴 |
|---|---|
| 読字(読むことの困難) | 文字を一つずつ拾って読む、行を読み飛ばす、音読に時間がかかる |
| 書字(書くことの困難) | 文字の形を覚えにくい、鏡文字になる、漢字を書くのが極端に苦手 |
| 算数(計算・推論の困難) | 数の大小や繰り上がり・繰り下がりの理解が難しい、図形やグラフの理解が苦手 |
LDは知的障害とは異なり、知的発達の遅れや、視覚・聴覚の障害、環境的な要因によるものではないことが診断の条件とされています。
ASD・ADHD・LDの違いを比較表で解説
ASD・ADHD・LDは、いずれも発達障害に含まれますが、困りごとの中心となるポイントが異なります。よく検索される「ASDとADHDの違い」「ASDとLDの違い」「ADHDとLDの違い」について、比較表でまとめました。
| 比較項目 | ASD | ADHD | LD |
|---|---|---|---|
| 困りごとの中心 | 対人関係・コミュニケーション、こだわり | 注意力の持続、行動のコントロール | 特定の学習分野の習得 |
| 対人関係の傾向 | 暗黙のルールの理解が苦手なことが多い | 人懐っこく積極的な場合が多いが、衝動的な言動でトラブルになることも | 対人面より学習面に困りごとが集中しやすい |
| 集中力の特徴 | 興味のあることには高い集中力を発揮 | 興味の有無で集中力に大きな差が出やすい | 学習分野以外の集中力は年齢相応 |
| こだわりの強さ | 非常に強い(ルーティンや順序への固執) | ASDほど強くない | 特になし |
| 知的発達 | 知的障害を伴う場合と伴わない場合がある | 知的発達に遅れはない | 全般的な知的発達に遅れはない |
ASD・ADHD・LDは併存することがある
ASD、ADHD、LDは、それぞれ単独で見られることもあれば、複数の特性が重なって現れることもあります。特にASDとADHDは併存しやすいことが知られており、一方の特性がもう一方の困りごとをより複雑にするケースも少なくありません。また、ADHDとLDが併存し、「集中が続かないうえに読み書きも苦手」という形で困りごとが重なることもあります。
特性が重なると、本人も周囲も「なぜうまくいかないのか」が見えにくくなり、自己肯定感の低下や、不安・気分の落ち込みといった二次障害につながることもあるため、早めに特性を理解し、環境を整えていくことが大切です。
アスペルガー症候群とASD・ADHDとの違い
「アスペルガー症候群」という言葉は今も広く使われていますが、現在の診断基準(DSM-5)では独立した診断名として用いられていません。かつて個別に分類されていた自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群は、現在はすべて「ASD(自閉スペクトラム症)」という一つの診断名にまとめられています。
| 旧診断名 | 現在の呼び方 | かつての特徴 |
|---|---|---|
| 自閉症 | ASD(自閉スペクトラム症) | 言葉の発達の遅れを伴うことが多い |
| 高機能自閉症 | ASD(自閉スペクトラム症) | 知的発達の遅れを伴わない自閉症 |
| アスペルガー症候群 | ASD(自閉スペクトラム症) | 言葉や知的発達の遅れを伴わず、対人関係やこだわりに特性が見られる |
なお、アスペルガー症候群(現ASD)とADHDは診断基準上まったく別の特性ですが、「対人関係で浮いてしまう」「集団行動が苦手」といった表面的な困りごとが似ているため混同されやすい傾向があります。判断は自己判断ではなく、専門機関での診断を通じて行うことが重要です。
「発達障害」と「学習障害」「自閉症」の違いとは?よくある疑問
学習障害と発達障害の違いは?
学習障害(LD)は、発達障害という大きなカテゴリに含まれる一つの種類です。「発達障害」はASD・ADHD・LDなどの総称であり、「学習障害」はそのうち学習面に特性が現れるタイプを指します。つまり、両者は対立する概念ではなく、発達障害という大きな枠の中にLDが含まれる関係にあります。
自閉症と発達障害の違いは?
自閉症(現在のASD)も、発達障害というカテゴリに含まれる種類の一つです。「発達障害=自閉症」ではなく、発達障害の中にASD(旧・自閉症)、ADHD、LDなどが含まれる、という位置づけになります。
ADHDと発達障害の違いは?
同様に、ADHDも発達障害というカテゴリに含まれる代表的な種類の一つです。「発達障害の中の一つがADHD」という関係であり、両者を対立するものとして比較することはできません。
気になる特徴が見られたら|相談先と支援のポイント
ここまで紹介してきた特徴に当てはまるからといって、必ずしもASD・ADHD・LDであるとは限りません。診断は自己判断ではなく、医療機関や専門機関での検査を通じて行われるものです。「グレーゾーン」と呼ばれる、診断基準を満たさないものの特性の一部が見られる状態もあります。
気になる特徴があるときは、一人で抱え込まず、以下のような窓口に相談してみることをおすすめします。
- かかりつけの小児科・児童精神科・発達外来
- お住まいの自治体の発達障害者支援センター、保健センター
- 幼稚園・保育園・学校の担任やスクールカウンセラー
- 児童発達支援・放課後等デイサービスなどの専門機関
私たちチル・リブでも、調布市内の京王線 調布駅・京王多摩川駅の二事業所で放課後等デイサービスを運営し、ASD・ADHD・LDなど発達障害のあるお子さまの療育に取り組んでいます。特性の理解や関わり方については発達障害ナビでも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。友達関係で困りごとが出やすいお子さまにはSST(ソーシャルスキルトレーニング)も効果的です。サービスのご利用には受給者証が必要となるため、調布市での受給者証の申請方法もあわせてご確認ください。
まとめ
ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(学習障害)は、いずれも発達障害に含まれる代表的な種類ですが、対人関係・こだわり、注意力・行動のコントロール、特定の学習分野の習得というように、中心となる困りごとはそれぞれ異なります。一方で、特性が重なって現れることも多く、明確に線引きできるものではありません。
大切なのは、診断名だけで判断するのではなく、お子さま一人ひとりの特性を理解したうえで、その子に合った環境づくりや療育・子育てを行っていくことです。気になることがあれば、どうぞお気軽にチル・リブまでご相談ください。

